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【2023.3.25(土)】(報告)

 利根沼田市民エネルギー講演会

「再生可能エネルギー100%に向けての現状と課題」

講師 飯田哲也さん

日本は再エネ100%
​実現できるのか!?

 3月25日、群馬県沼田市のウェルプラザで約40人の参加者とともに表記のテーマについて飯田哲也氏の講演を聞きました。

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[世界と日本の再エネの現状は?]

 再生可能エネルギー100%は実現できるのでしょうか。気候科学者たちは懐疑的ですが、再エネ科学者たちは達成可能と考えているようです。創造的破壊、セクタカップリング 、地域熱供給、メガバッテリー、政策カオスなど聞きなれない様々な用語と膨大な資料で頭はパニック状態なのですが、世界のエネルギー状況は技術的な大変革の時代に突入している気配です。

 これら大変革の技術を使い、再生可能エネルギーを繋いで100%を達成するためには、再エネ最優先原則の徹底と柔軟性パラダイムが重要だと言います。原発を中心に据えたベースロードパラダイムはもはや古い概念だというのです。

 日本の再エネ電力の立ち遅れの原因は、世界の主力である風力発電に力を注がなかったこととFITの失敗で政策カオス状態に落ち入っていることだと指摘しました

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[再エネ100%に向けての課題は?]

 この実現のためにはいくつも課題があります。太陽光発電なら耐久年を過ぎたソーラーパネルの廃棄物処理。しかし、そのガラスとシリコンについてはリサイクルシステムができているといいます。また、半導体等の資源は足りるのかというと、これもシリコンと蓄電池のリチウムの供給は十分可能だと指摘しました。

 さらに、ソーラーパネルの乱立のような環境破壊の問題もありますが、これは社会合意の形成、つまり、政策と社会の問題であると言います。こちらの方が深刻かもしれません。国・行政と地域という点に目を向ける必要がありそうです。飯田氏自身が関わっている秋田県大潟村の地域熱供給ネットワークの取り組みが紹介されましたが、重要なことは地域での合意づくりは分散自立のボトムアップ、つまり、コミュニティシステムを確立することだ、と語りました。

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[世界と日本は取り組みの姿勢が違う!?]

 それにしても、日本においてはなぜコミュニティシステムが形成されないのでしょうか。家庭の温熱関係のエネルギー使用は63.1%(経産省データより)もあるが、地域温熱供給のシステムを行政が進めないのはなぜか、飯田氏に質問してみました。するとなんと、日本のエネルギー計画の中には温熱政策はないというのです。彼は日本の場合、歴史的な問題があるといいます。

 それは歴史的に日本は個人の尊重という視点が弱く、暖房・温熱についても個人の責任で行われるのに対し、地域温熱供給システムが進んでいるデンマークをはじめ、ヨーロッパでは個人が尊重され、使う側からの目線で施策が行われていると指摘しました。

  確かに日本においては、役所にしても学校にしても、様々な点で上から目線の状況が見られますし、国民もお上の施策待ちが身に付いているように見えます。技術の発展はもちろん重要ですが、日本は社会の在り方と人々の意識の変革が、より問われているのかもしれません。

(2023.4.5)

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